一般社団法人ファーマーズマネジメント 理念体系
はじめに:私たちの原点
日本の農業は今、歴史的な転換期を迎えています。高齢化による担い手の減少、耕作放
棄地の拡大、地球温暖化に伴う気候変動や災害の激甚化、そして国際情勢の緊迫化によ
る資材・肥料の価格高騰など、農業を取り巻く環境はかつてない厳しさに直面しています。
しかし、私たちはこれを単なる「衰退の危機」とは捉えていません。これからの農業は、単
に作物を育てるだけの産業ではなく、地域の暮らしを守り、地球環境を再生し、次世代へ
持続可能な社会を繋ぐための「最重要の基盤産業」へとしなやかに進化を遂げるチャンス
を迎えているのです。
一般社団法人ファーマーズマネジメントは、農業を「感情や経験則だけで行うもの」から「科
学的かつ戦略的な経営(マネジメント)の力で持続可能なもの」へと変革するために設立さ
れました。生産者の「想い」に「経営の知恵」を掛け合わせ、日本の農業の新しい未来を切
り拓くことが、私たちの存在意義です。
一、 基本理念(哲学・クレド)
「土を耕し、人を育み、未来を経営する」
私たちの基本理念は、農業の本質である「土(自然環境)」と「人(生産者・地域住民)」、そ
してそれらをつなぎ持続可能にするための「経営(マネジメント)」の三位一体にあります。
- 土を耕す(自然環境への敬意と持続可能性)
農業の基盤は豊かな自然と土壌にあります。私たちは、地球環境に負荷をかけす
ぎない環境調和型の農業を推進し、次の世代へより豊かな自然環境を引き継ぐた
めの基盤を耕します。 - 人を育み(次世代のリーダー育成)
農業を変えるのはテクノロジーや資金だけではありません。それを動かす「人」の力
こそが最大の財産です。私たちは、自立した経営感覚を持つ農業経営者(アグリプ
レナー)を育て、次世代を担う若者が憧れるような魅力的な産業としての農業をつく
ります。 - 未来を経営する(バックキャスティングの視点)
目先の利益や過去の慣習にとらわれることなく、「100年後の地球と社会はどうある
べきか」という未来から逆算(バックキャスティング)し、今実行すべき農業経営のあ
り方を提示し、実践します。
二、 ミッション(私たちの使命)
「農業経営の近代化とイノベーションを通じて、持続可能な地域社会と食の安全を保障す
る」
私たちは、単なる農業技術の指導機関ではありません。生産者が「誇りを持って稼げる経
営体」となるための伴走者です。私たちの使命は、以下の3つのイノベーションを通じて達
成されます。
- 経営マネジメントの社会実装
優れた技術を持ちながらも、財務・労務・マーケティングなどの経営スキル不足によ
り廃業を余儀なくされる生産者が少なくありません。私たちは、生産・販売・労務・財
務のデータを可視化し、科学的なアプローチによる農業経営(スマートマネジメント)
を全国の農家に普及させます。 - フードサプライチェーン of 最適化
生産者から消費者に至るまでの流通構造を最適化し、生産者が適正な利益を得ら
れ、消費者が安全で高品質な農産物を適正な価格で入手できる仕組みをつくりま
す。これにより、食品ロス(フードロス)の削減と、地域内循環の活性化を同時に実
現します。 - 地域コミュニティの再生と維持
農業は地域の文化やコミュニティの核です。農地が荒廃すれば、地域のコミュニティ
も崩壊します。私たちは、農業経営の安定化を通じて地域の雇用を生み出し、関係
人口を創出することで、地方創生の一翼を担います。
三、 ビジョン(私たちが目指す未来)
「世界で最もイノベーティブで、最も誇り高いアグリカルチャー・エコシステムを構築する」
私たちが目指すのは、農業に関わるすべてのステークホルダーが豊かになり、互いに支え
合う「アグリカルチャー・エコシステム(農業生態系)」の実現です。具体的には、以下の3つ
の景色を日本、そして世界に広げていきます。
● 生産者が憧れの職業になる未来
子供たちが「将来の夢は農家になること」と胸を張って言える社会をつくります。高
い生産性、安定した収入、長期的で健全な労働環境を実現し、知性的でクリエイ
ティブな職業としての農業を確立します。
● データとテクノロジーが自然と調和する未来
AI、IoT、ドローンなどの最先端テクノロジー(アグリテック)を駆使しつつ、自然の摂
理や伝統的な知恵を融合させた、日本独自のハイブリッド型農業モデルを世界に
発信します。
● 「食」を通じて地球と人が健康になる未来
私たちのマネジメント支援を受けた農地から生まれる作物が、人々の心と体を健や
かにし、同時にその農地そのものが二酸化炭素の吸収源(カーボンニュートラル)と
して地球環境の回復に貢献している状態を目指します。
